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概要

t100

十日町音頭発表会十日町音頭(深雪甚句)を戴き痩腔(そうけい)発表会の記事が掲載されに鞭うって直に表逮十日た自の次に発行されが薪町を訪ふ。抑(そもそも)聞に、次の文章が一面に事を催す者ζれ十日町載る。作者は何と春日由(青年)織物研究会、銀=一元十日町市長その人で鞍白馬の貴公子、若殿原ある。その智を尽しその情を傾名人会観賞記け加ふるに多大の日子を東大関人山家の独居にも心惜しきは逝ぐ春の白曜日、書見に些一(いささ)かの疲れと倦怠を覚えて、一瓢の琉泊二合半ばかりそ傾くれば正に陶然たり。春風漫ろに至りて南窓に今を盛りの緋桃の花、一ひら二ひら地に舞ひたり。(賂)美酒あり。時鳥あり。されどされど傍に一人の虞化侍する無きを如何すべき。会々(たまたま)思ひを今夕の旬街座に馳す。遊心遂に禁じ難し。山笠5様、谷幹にも類つべきチし、忽ち起一る天女の舞楽、ン舞踊、エネルギーが提麟月かそかにか〉る六町灯を消す気合い術、まっ。一橋畔、漁師伯龍、六枚のたうら若き一女性の玉の衣が奪ひて六板の晴替を如き美声、更に指を延ば与へたるか、サト立ち並さんか新内の日高川、十ぴたる梅桜べ桃李、牡丹、日町長老速の義太夫、堂巧薬、優か美か艶か幽か、摺連(どうするれん)の正に絢畑正に舷然、一挙弥次、些一か多きか美声些手よく花をほ三えませ、か損ぜしか、はた又我耳一投足よく烏を唄はしむ。の塞がりしか。意を尽あ、も知る処にあらされども、これまた雀海中に入りて蛤と化せしが如き変り様、中山晋平氏作曲と銘打ちしプログラムを活字の誤りにや我眼の狂ひしにやと再三再四検討せしは満堂数千の聴衆中たヲ我一人のみに非ざりしを如何すべき。遮莫(さもあらばあれ)日は既に旬日に迫れり、我今何をか一言はん、幸ひに才色兼備の旬街の名花数輪、春風に乗りて花のお江戸に浮かれ出で我らが高等学校の名歌「丹波我をして此の億(まま)篠山山家の猿が花のお江命絶えしめよ。直に蝶と戸で芝居する」てふデカなりて共に共に舞はんとンショの一節にその名をこそ思はしめしが、折し檀(ほしいまま)にせざも惜しむべし、比の名曲らしめん事を祈るのみ。サッテモ節、忽ちに止み月清し、見事に酔ひたて忽ちに起るまた一曲、り。口の横に裂けし億にその名指ι新作十日町音頭た、きたる悪口雑言、痴とこそ言ふめれ、狐が何者の言の葉な・れはと御海物に化けしかは二十世紀容あらせられよ。我にもの世に生まれし我等が些また十日町の名を惜む一費しての盛典なれば二十銭の阿堵物(あとぶつ)、如何でかその価を疑はしむる事あるべき。集ふものまた名人俊秀雪の如く加え旬街の美姫一千人、正にこれ逝く春を惜しむ絢嫡豪華の一大絵巻と称ひっベし。指を屈すべきもの墓(がま)の油売り模さずるの憾無きにしもあらざPレが更に今更に米若、小米若、大米若1浪花節連の方々に至りては時間足らざるためか、いづれもその美声を発揮する阪も無くして幕となりしは語るもの聴くもの、共に名残はっきざりしものを。あなあやし、あなあや10片の愛郷心はあるものを《昭和9年5月白日》一読するに筆者のwふるさとuを想う心情が、ひしひしと読む者に迫る名文である。古典的で難解な用語を駆使しながらも、昭和初期という時代が浮かび上がってくる。それから五日後の次の号に、上野松坂屋における織物宣伝会関係の記事が載る。引率は阿部組合長、根津研究会副会長の二人。そして舞台で活躍する芸妓は、慣が吉野‘花子、米八の三人。踊りが桃代、小八千代、=一吉、太郎、紅子、すぜめの六人であると発表されている。こうして十日町音頭(深雪甚句)は、華々しく墓京の舞台に同且場する事になったのである。(よしかず)140